天災は忘れた頃にやって来る
★『東京・地震・たんぽぽ』/豊島ミホ

東京で震度6強の地震が起きたその時…。

14編からなる連作短編です。
幼い子からお年寄りまでそれぞれ14人の「その時」が描かれます。
「その時」にどこにいたか、たったそれだけのことだけで、いつもはひとつ屋根の下で暮らしている家族や友達が「生と死」という対極的な運命をたどる。
まさにそれは「天災」です。

非日常を突きつけられた時の人間のパトス…この一冊で知ることができます。

なにゆえに豊島ミホは「東京で大震災」という仮想をもとに小説を書いたのでしょう。
気になるところです。
09/18 16:09 |  | CM:0 | TB:0
人間の幸福の極致
★『苺をつぶしながら』/田辺聖子

一部二部と楽しんできたこのシリーズもこの第三部をもっておしまいです。

第三部は、服役から開放された(離婚した)乃里子が、“先無し乃里子”として一人で活き活きと暮らしていくさまが描かれていきます。
服役とは結婚生活中のことをいいます。
夫だった剛ちゃんは看守という言われようです。

独り身の自由さ、気安さ。
表裏一体で存在する不自由さ、不安…。
そういったものを痛感します。

「いつも独り住みでしてね」とうそぶき、独り住みの幸福を味わえる日がやがて私にもくるのでしょうか…。
口を糊することができればそう思えるものなのでしょうか。
うむ。

大雨の中を乃里子が裸にレインコートを着て出かけるシーン。
のびやかで、とても気持ちよさそうで印象に残りました。

30年という年月を経ているにも関わらず復刊されたこの三部作。
まったく古さを感じさせず、復刊も頷けるというもの。
女の、男のあれやこれなんてものは新旧問わずなことなのでしょう。

やっぱりこの三部作手元に欲しいところです。
09/18 13:22 |  | CM:0 | TB:0
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