欲しい、買って。
★『おそすぎますか?』/田辺聖子

「夢とぼとぼ」「あんたが大将」「おそすぎますか?」「ぎっちょんちょん」「友を背にして」の5編の短編とあとがきにかえた「夕立のあとの虹のように」が収録。
どの短編も闊達に働く女性とそんな女性の側で男の沽券を気にしいしいしている男性が描かれてる。
どれもとても生き生きとしていて、面白く、気持ちが良い作品。
男の沽券にこだわっている男性をも愛おしい存在として描き出せてしまう田辺聖子さんの手並みたるやあっぱれです。

“小説を読んで「何も残れへんけどおかしかった」という精神状態がね、人生でいちばん大事”「夕立のあとの虹のように」より
このあとがきにかえた「夕立のあとの虹のように」で田辺聖子さんの物を書く姿勢、小説の在り方が綴れているのですが、これがとても素敵な考え方なんです。
小説は、難しい考えじゃなくていい、人生の上級生が伝えるべき知恵みたいなもの、面白みや軽みが大切なのよ、って。

私は、趣味を尋ねられれば読書と答えますし、仕事を尋ねられて答えれば「じゃあ、本が好きなのね」と言われれることが必至な環境ではあります。
趣味や仕事の話をすると、どんな本を読んでいるの?という質問を始めとして、本の話を振られたりすることが多々ありますが、人に言えるほどの内容の本は読んでないのが実情であり、残念ながら相手の期待に沿えるようなものを読んでいないのがほとんどなので、本に関する質問や話題にはいつも上手に答えられないんですよね。
それになりに本は読みます、確かに。(もっと読む人なんてごまんといますから、「それなり」というのもおこがましいことかもしれません・・・)
でも、私は難しいものは好きじゃないし、読まない、というより読めない。
そのことを特段悩んだりしてはないですが、田辺聖子さんがいう小説の在り方に私はほっとさせられました。「人生でいちばん大事」という精神状態に私は何度もなったことがあるもの。

この本は、ポプラ社の「Tanabe Seiko Collection」なる文庫本シリーズの2冊目。
1冊目は「百合と腹巻」というタイトルで、現在読み途中です。
このシリーズ何冊発行されるんでしょうか…装丁も可愛いし、全部手元に欲しいです。

カウントダウン*3*
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